◆摘出手術

2003年7/14第1回手術・生検
2003年7/23第2回手術

<左前頭開頭・腫瘍摘出手術>
両側の前頭部に弧状の皮膚切開を置き、左側の前頭骨を取り外し、腫瘍の摘出を行う。取り外した頭蓋骨は、腫瘍摘出後に「脳の腫れが強い」等の問題がない限り元の位置に戻す。

<手術に伴い起こりうる合併症>
1.脳虚血、脳挫傷(脳を引くことによる影響)
2.脳内の主要血管の損傷
3.術後出血・術後浮腫
4.脳静脈の損傷による静脈梗塞
5.髄液漏
6.髄膜炎・脳炎等の感染症
7.てんかん発作・全身痙攣
8.脳梗塞・脳出血
9.全身麻酔による合併症

<起こりうる後遺症>
1.言語障害(失語症)
2.運動障害、特に右側の麻痺。補足運動野(運動の時間的順序を決める。障害されると複雑な運動ができなくなる)の障害
(以上は腫瘍の接している部分の脳の損傷により考えられる障害)
3.意識障害・感覚障害等の神経障害

(最悪死ぬことも覚悟して下さいなどと言われ、私よりむしろ家族が不安におののいていたのだが、手術は無事に終了し、後遺症もなかった。)

術前に行ったMRS検査による腫瘍の成分グラフ等から、神経膠腫で、悪性のレベルが高いものである可能性があるため、1度目の手術でなるべくたくさん摘出することになった。 腫瘍が脳の正常な部分にも侵食しており、前の方の腫瘍の周りはある程度傷つけても影響がないため、正常な部分も含めて摘出するが、後ろの方の腫瘍は、正常な脳組織を傷付けないよう、明らかな腫瘍部分だけを摘出する。よって、腫瘍の全てを摘出することは困難なため、術後は細胞診の結果をふまえて放射線治療や化学療法が必要となる。

<細胞診について>
1.迅速細胞診(冷凍して数日後)
2.正確な細胞診(ホルマリン漬けにして1週間以上後)
3.遺伝子検索(乏突起膠細胞腫に限定して遺伝子を特定するもの。化学療法の選択に必要)